久しぶりに走った・・・。
学生の頃は運動が好きで結構速かった俺。
何でも熟(こな)しきるまでめり込んでしまう性格。
彼の手を引きながら顔をちらりと見ればゼイゼイ言ってる・・。
「大丈夫か?はぁはぁ・・・」
「・・・・・・・・・」
何も答えられない程らしいから、少し緩めた走り。
目的地は目の前にあるから当然だけど・・。
「ここ・・。はぁはぁはぁ・・、大丈夫か?」
手を離せば、膝に手を当てて背中がもうだめだと言っているように見える・・。
呼吸が整え終わるまで待てばふ~~っと息をついて、
「ユノは足が速すぎですよ・・。死ぬかと思った・・。」
「えっ?////」
ぷ~っと膨らむかわいい顔にドキッとした俺。
すぐに視線を外し、暖簾に手を掛け入れば、
昼を外れた時間帯だったため思ったよりも少なくてホッとした。
いつもは並ばないといけないし、もし並べば、さっきドキンとしたことで、
おもむろに顔を見ることなんて出来なかっただろう・・。
「テーブル席でいいか?」
「はい・・。」
キョロキョロと見渡す彼とテーブル席に着けば
すぐに水とメニュー表を持って来てくれた店員。
「何にする?」
「ん~~、どれも美味しそう・・。」
ニコニコとメニューを見る君の方が美味しそうに見えてくる俺っておかしい奴だ。
「ギョーザにビールがおいしいですが、まだ、昼間だし・・。」
「いいんじゃない?俺はこれから仕事だけど・・。」
「そうですよね、ユノは仕事でしたね・・・。」
ん?なんだか寂しそうな顔をしたように見えたけど、気のせいか?
「じゃあ、まずはビールと餃子。それに鳥軟骨の唐揚げにエビ春巻き揚げ。」
「おっ?」
「それに味噌ラーメン!!大盛で!!」
「・・・・・・・・・・」
「ユノは?」
「あっ、俺 半チャンとラーメン大盛で。」
「半チャンってチャーハンが半分って事?」
「そう。食べてみる?」
「はい!!」
「じゃ、半チャンじゃなくて普通でお願いします。」
持ってこられたものはこのテーブルは一体、何人、人がいるんだ?
っていうくらいの量だ。
見ただけでお腹がいっぱいになるが、それでも朝食が少なかったから、
匂いに誘われれば腹が鳴る。
「よし、食べよう。」
「いただきます!!」
ビールを飲みながら、餃子を頬張れば幸せそうな顔をする彼。
見ていて気持ちがいいし、ガツガツ食うわけじゃないけど、
少なくなっていく皿を見ていれば思わず一口貰っていた俺。
「美味いな・・。」
「でしょ!!」
って、自分がつくったわけでもないのにそういう彼に笑ってしまっていた。
食べ終わり、会計は昨日の残ったお金でも十分に払えた。
自分が誘ったのにとまた、ぷうっと膨れた頬は少しだけお酒のせいで桜色だ。
暖簾を出て、駅までの道のり黙ってしまった彼。
駅が間近に迫った時だった、
「ユノ、仕事、何時までですか?///」
「ん?ああ、一応0時までだけど、お客さん次第かな・・。」
「そうですか・・。」
「どうかした?」
「いえ、別に・・。僕、明日帰るんで・・。」
「・・・・・・・・」
俯いて呟くようにそう言った彼が何だか儚くなってしまっていて思わず、
「仕事が終わり次第ホテルにきてもいいか?」
「えっ?」
「絵本の仮打ち上げ会。でもしないか?」
「いいんですか?」
やっと顔をあげて見せてくれた瞳は愁いがかっていたが、
「遅くなるけど、それでもいいなら・・。」
「////はい、遅くても待ってます」
嬉しそうに瞳を変化させやっとかわいらしい笑顔を見せてくれたんだ。
彼は俺が見えなくなるまで見送ると電車の改札口まで一緒に行き
俺はその電車に乗り居酒屋へと向かっていったんだ・・。
胸に彼の泣きそうな顔が突き刺さる。
反対に笑顔は胸を突き抜けていた・・・。
こりゃ、参ったな・・・
綺麗な青年に惚れたか?
窓を見ながら次の駅で降りれば居酒屋まで徒歩5分もかからない。
仕事が終われば彼のもとに行く約束をしたからと、
裏から入り支度をはじめていればラインの音に画面を見た。
・・・・準備しておきますね・・・・
そのメッセージと共にテーブルの上にこんもりと並べられたお菓子や飲み物に
笑みが零れた。
「よし、頑張ろう・・。」
テンション高く掛け声が響く店内、
いつもよりも早く感じた俺は手早く片づけを終わらせ、
店を飛び出したんだ。
終電は、間に合わない、こうなったら走ろう!!
走り始めたとき車が目の前に停車し、窓が開く。
「ユノ、帰りは送ってくぞ。」
「あっ、いえ、今日は友達の所に行く約束をしてるんで。」
「乗れ!!送るから。ほらっ・・。」
「あっ、ありがとうございます。」
嬉しいことにいつも送ってもらっている人にホテルまで載せてもらえば、
早くに着いたんだ。
ロビーから、エレベーターの乗り込み、彼の部屋の呼び鈴を押せば、
カチャッとドアが開いて嬉しそうな笑顔と共に
彼が俺に飛び込んできたんだ・・・。
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