揺り籠・・・ 16

2018年10月08日09:00  揺り籠・・・君のその腕の中

 本当は、嫌で嫌で しょうがなかった僕。

 引き離されてしまうんじゃないかと思った時は、絶対にやるものかと・・・・

 このまま どこか遠くに連れて行って隠れてしまおうかと・・・・


 そんなことも考えたりしていた。


 でも、いざ、ふたを開け聞けばそんなことではなく、ただ、ご飯を食べさせたいとか・・・

 いろんな感情が僕を悩ませていたから、そんなことくらいならなんて、

 一気に感情が緩やかになったけど。


 でも、やっぱり、言ってしまった後に来る、少しの嫉妬?束縛感?

 やっぱり、やりたくないかも・・・・・


 ほんと、車の中に乗ってグルグルと考え込んでしまう僕。

 いずれは、あの家の血筋を継ぐマナをあちら側がほっとくわけがないよね・・・。

 会社とかは、ほかに任せる方法とかあるかもしれないけど、

 あの資産家の家は、継ぐ者はマナしかいないみたいだし・・・。



 マナを迎えに行き、ケーキ屋によると、2人で、にこやかに買ってくる姿が

 微笑ましい・・・。

 この幸せは、僕のエゴなのか?

 エゴで、もしかしたら マナの気持ちを押しつぶしてしまうんじゃないか?


 カチャッ

 車に乗り込んできたマナ。


 ≪ちゃみのすきなのかってきたよ・・・≫

 「ん?何だろう」

 ≪ないしょ・・・あとでね」

 「ん、わかった・・・」

 「大丈夫か?顔色悪いぞ。」

 「ん、大丈夫だよ・・。さっ・・・行こう・・・待ってるよ。」

 「そうだな。連絡したら嬉しそうだったから。さあ、マナ、出発進行~~~!!」

 ≪お~~~♪≫


 嬉しそうな声が後ろから聞こえる。

 その声が僕の耳には 痛くて泣きそうになってしまう。


 ユンホさんの自宅に着けば、昼食を準備してくれていて、

 久々にみんなでにぎわって食べたんだ。



 そのあと、ユンホさんは仕事場に行き、僕とお義母さまは片づけの真っ最中。

 マナは、久々のお義父さまと庭でパターゴルフを楽しんでいる。


 洗い終わった食器を拭いているときに、突然 お義母さまから、


 【で、どうだったの?】


 あのことを心配してくださっていたのに、マナがいることで話をしていなかったんだけど、

 心配でしょうがなかったんだろうな・・・。


 「はい・・・週2回、10時から3時半くらいまで 預けることにしました。」

 【えっ?チャミンさん?】

 「あ・・・・いいんです。少しは慣れないといけないし・・。あちらも・・・】


 僕の方を見たお義母さま、突然布きんを取り上げられ、


 【チャンミンさん、ちょっとこちらにいらっしゃいな。】

 「えっ・・・ああっ・・・」


 手を引かれて、ソファに座らされた僕の横にお義母さまも座り話を始めた。


 【どういう事?それでいいの?・・・・大丈夫なの?】

 「・・・・はい・・。あの・・・マナも将来的にあちらの名前を継ぐことになるでしょう・・。

  少しづつ慣れて行かないといけないんじゃないかと思って・・・」


 俯く僕は さっき我慢していた涙が 溢れてきそうになっていた。




 【違うわよ!!あなたが大丈夫かって聞いてるの?】

 「えっ?」

 
 俯いていた僕は思わず顔を上げれば、心配そうなお義母さまがそこにいた。


 【ばかね・・・あなたが心配なのよ。それで、いいの?】


 「 ・・・・・うっうっ・・・・うっ・・・ 


 見透かされたような瞳に これ以上僕の気持ちに蓋が出来なくて泣いてしまったんだ。


 「 ・・・・ほんとは嫌です・・・。嫌だけど・・・我慢しなきゃ・・・・ヒック 

 【チャンミンさん・・・・ばかね・・・・いつも我慢ばっかり・・・】


 そっと僕を抱き寄せて、背中をさすってくれたお義母さま。

 その胸の中で泣いてしまっていた僕。


 と、その時だった。






 ガラッ



 ≪ ばあば!!!ちゃみ どうしたの?おなかいたいの? ≫


 パターゴルフをしていたマナが突然入ってきて、僕のそばに来て抱き着いたんだ。

 僕が泣いているのに気が付いたみたいで、お義父さまもサッシの前に立って苦笑い。



 ≪ばあば?ちゃみどうしたの?おなかいたいの?たべすぎたの?≫ 


 「//////////////マ マ マナ!!」


 【ぷっ・・・・そうなのよ。マナちゃん。ケーキはお預けかしらね・・・。】


 そのやさしい手を離して、マナに預けてくれたお義母さま。


 「マナ・・・もう大丈夫だから・・・。大丈夫だから・・・。」

 ≪じゃ、あとでいっしょに けーき たべれるの?・・・。≫

 「うん・・・・たべれるよ・・・みんなで食べようね・・・・」

 ≪うん・・・・≫


 ギュッと僕に身体を預けたマナ。


 それをもう一度、僕の方がギュッと彼女を抱きしめたんだ。


 きっと 僕の選択は間違っていないという思いを込めて・・・・・・マナの幸せを願って・・・・。
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